ミニを乗られていて・・・、特に山道のドライブやサーキット走行などのスポーツ走行を行なった事がある方には、本当にかゆい所に手が届く・・というようなパーツがあるのをご存知ですか? ノーマルのミニのギアは、排気量の小さなミニをオールマイティに使いやすいようにセッティングされているのですが、扱いやすくしているが故に犠牲になっている部分もあるのが事実。 それでは、犠牲になっているのはどの様な内容なのか? それを改善する方法は? 今回、なるべく分かりやすく説明しようと思いますので、「こういうことも出来るんだ」という気持ちで読んでみてください。 |
上のグラフをご覧ください。 これはエンジンの回転数とスピードの関係を表したグラフです。 ミニは色々な排気量やグレード等があり、それによっても違いがあるのですが、今回例に出すのは1992年以降の1300ccインジェクション車(日本向け)の仕様で説明したいと思います。 上でも書きましたが、ミニをオールマイティに使うというのは、エンジンが低回転でスピードが低速から高回転で高速まで、ある程度使い易いエンジンおよびギアとなっています。 しかし、ミニは4速(マニュアル)しかありませんので低速から高速までを均等に振り分けることが難しく、全体を大きなイメージで分けてみると1速、2速で低速部分をカバーし、3速、4速で高速部分に対応すると言ったらよいでしょうか。 しかし、通常の使い勝手としては良いのですが、峠道でもドライブやサーキット走行などのスポーツ走行をした場合に不満が出てくるのです。 上のグラフを見てください。 たとえば2速6000回転まで回すと82km/ぐらいとなりますが、ここで3速にシフトアップすると3800回転近くまで回転が落ちてしまいます。 これが峠の登りやサーキットなどでは回転が低く、そこからまた回転が上がりパワーが出るまでに時間がかかってしまう。 2速じゃ回転が上がりすぎるし、3速じゃ回転が低すぎるという状態になるのです。 |
そこで対策の1つとしてクロスミッションの登場です。 上の図をご覧ください。 茶色い線がノーマル、青い点線はクロスミッション(スタンダードクロス/3.7ファイナル これについては後で説明します)となります。 ご覧のとおりクロスミッションは各ギアがグッと近づいた形となっており、ノーマルのギアでいうと1〜4速ではなく1速/2速/2.5速/3.5速というイメージのような感じでしょうか。 最高速という部分は捨てて、低速から中・高速までを細かく4つに分けている形となります。 先ほどの例で言えば2速6000回転で84km/hぐらいでしょうか、そこでシフトアップしても3速で4300回転ぐらいとなり、高い回転数をキープできるようになるのです。 今まで3速で加速できなかった部分でグイグイと加速していけるという感じですね。 しかしデメリットもあり、100km/hで走る場合ノーマルは3400回転ぐらいですが、上記のクロスの場合4000回転回さないといけなくなってしまいます。 かゆいところに手が届く・・、この意味が分かる方も多いのでは? しかし、高速走行ではエンジン音がうるさくなってしまうという部分がデメリットになる・・というのはありますね。 まあ、それ以上に楽しくなってしまう部分の方が大きいですが。 |
クロスミッションにも色々と種類があり、一般的な物では、まず形状がヘリカルカットとストレートカットに分けられます。 ヘリカルカットはノーマルと同様でギアの歯が斜めに切られているもの。 これは音を静かにするためのものなのですが、ギアが斜めに噛み合いますので力のロスが出ます。 そこで100%力を伝えられるように歯が真っ直ぐに切られているものがストレートカットとなります。 ロスが少なく、ストレートカットにするだけで30%ほど効率が良くなるとも言われています。 ただし歯の当たりが強くなるためにギアの音が大きくなってしまいます。 チューニングカーらしい音で、この音が良いという人も多いのですけどね。 またクロスミッションはギアの比率も何種類かでており全体的にノーマルに近いもの、中間くらい、加速重視になっているものなど数種類でています。 さらにクロスミッションを組む場合、それと組み合わせるファイナルギアというギアがあります。 これは自転車でいうと前のペダルのところに付いているギアと同じ。 これの歯数を変えることにより全体的に加速重視にするのか? それとも高速寄りにするのか?というセッティングを行なえるのです。 これはノーマルのミニでも数種ありパワーの少ない850ccは走り出しやすくするために加速よりに、パワーのある1300ccは最高速よりにファイナルギアがセッティングされています。 |
左はノーマルのヘリカルカット。 ギアの回転方向に対して斜めに歯が切られています。 それに対して右がストレートカット。 回転方向に対して直角に真っ直ぐ歯が切られており力が逃げるロスを減らしています。 ヘリカルはノーマルのギア比、クロスミッションがあり、MK−TなどのクーパーSではオプションでクロスミッションを選ぶことが出来ました。 右のストレートカットは一般的なチューニングパーツであり、色々なギア比のクロスミッションが出ています。 チューニングして・・という方はストレートを選ばれる方が多いですね。 |
上の写真がファイナルギアです。 この大きなギアと小さいギアの組み合わせで加速重視か高速重視かの大まかなセッティングを行なうこととなります。 写真はヘリカルカットの物ですが、こちらにもストレートカットの物も存在します。 常に大きな音になってしまいますが・・。 |
簡単に説明したつもりなので、厳密に言うと違う部分もあるかとは思いますが、なんとなくクロスミッションのイメージは解っていただけたでしょうか。 ワンランク上の走りを楽しみたい方、そこで加速したかった!という思いを持ったことがある方、ぜひクロスミッションを試してみてください。 一般的な価格です。 ストレートカットクロスミッション ¥120,000〜 ファイナルギア ¥100,000〜 |